2024/12/11 15:23

New year ーcornet(コロネ)ーの制作のお話
以前ご紹介した通りコロネシリーズは、パン作りの道具であるコロネ型を使用して原型を作っています
とくに手間の掛かった、鏡餅
実際に手を動かしながら、どうしたら見栄え良く・効率良く実現できるか?を考えます
これは陶芸を教えるカルチャー教室の講師での経験がよく役立ってきます

教室には子供から大人まで、経験の有り無しいろんな方がいらっしゃいます
好みも違えば、その方にとっての「挑戦」がどんな作品なのかも違い、そんな方たちが同じ時間教室で作業をし、私たちは一人一人に
適格なアドバイスができるよう、ご本人と一緒に考え、楽しんで制作をサポートする
そういう仕事でして、私はこの仕事が大好きです

人に指導するには、人一倍の経験が必要になってくるわけですが
一度にいろんな作品を実際に完成まで見守る教室では、一人で制作をするよりも
数倍の幅広いパターンを経験できるので、講師の方がむしろ生徒さんたちに多くを学ばせてもらったと言えます

さて、話は鏡餅に戻りますが
制作の面においては、一度型に当て土を三角錐状に成形した後、四角い台座のパーツを付けるべく
下部3分の1付近で一度切り離し、四角パーツを貼り付けてから、再び上部3分の2を付けなおしています
制作に置いてはさほど難しくありません
工程が多いのは施釉の段階になります

まず、ミカンと四方紅(台座の上に敷かれた淵が赤い紙)にそれぞれ下絵の具で彩色します
ミカンに、黄瀬戸という黄色の釉薬を付けます
乾いたら、その黄瀬戸の上から「撥水剤」という釉薬等の水分をはじく薬品を塗り付けます
撥水剤が乾いたら、四方紅部分までを、ミカン側から白の釉薬に付けます(ミカンに白は付きません)
白が乾いたら、台座部分まではみ出して付いてしまっているであろう白の釉薬を、針などで削り取ります
そして、四方紅・餅の一段目分くらいまでを、撥水剤で上から別の釉薬が付かない様保護してやります
撥水剤が乾いたら、今度は台座側から、黄瀬戸に付けます(この時、餅まではみ出してしまっても、撥水剤によって餅に黄色はつきません)
最後は撥水剤の上に水滴として残った釉薬を拭き取り、本焼きです
陶芸経験者さんにはわかるかと思いますが、釉薬の複雑な掛け分けというのは未経験者さんにとって工程が多く、手順を組んでいく際こんがらがりやすいところです

陶芸には正解は無いと思っています
手順も自由、表現も自由、自分にしっくりくる手法を模索していくもの
今回は、どの手順を踏めば効率的かつ、白い餅を汚さずに焼き上げられるかを重点的に考えた手法でした
釉薬の相性、優劣、これを理解することは思い描いている完成像に近づける為に必要不可欠です